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近年、為替相場における円安が続く中、マンション経営にも多くの影響が及んでいます。円安がマンション経営にどのように影響を与えるのか、円安の基本からメリット・デメリット、オーナーができる対策について解説していきます。
円安とは、たとえば1ドル=100円から1ドル=120円へと変化したときのように「日本円の価値が外国通貨に比べて相対的に安くなる」状態を指します。海外通貨1ドルを手に入れるのに、より多くの日本円が必要になる状況です。近年では、海外の金利政策や日本の金融緩和、それから世界的な経済情勢の変動など、さまざまな要因が絡まり合って円安の状態が続いています。
円安が深まると、日本国内の輸入コストが増えて物価が上がりやすい反面、海外投資家にとっては「円で見ると高い資産でも、外国通貨に換算すると安く感じる」現象が起きやすくなります。すると、日本の不動産にも一気に注目が集まることがあるのです。
円安になると、海外資本から見ると日本の不動産は「安い買い物」に映りやすいです。とくに東京や大阪などの大都市圏では、この需要増がマンション価格の上昇につながる可能性があります。売却益(キャピタルゲイン)を狙いたい場合は有利な局面となることもありますし、すでに保有しているマンションの価値が上がっていけば担保評価が良くなり、追加投資を検討する際にもメリットが生まれやすくなります。
円安は輸入コスト増につながることが多いので、インフレ傾向が高まるかもしれません。インフレが進むと、現金や預貯金の価値は目減りしやすいですが、不動産のように実物資産としての価値を保ちやすいものは相対的に有利となります。都市部の賃貸需要が堅調なら、家賃の上昇も期待できる可能性があるでしょう。
円安で観光客が増えたり、海外企業が日本に拠点を設けたりすると、一時的な滞在向けマンションや高品質・高立地な物件の需要が高まります。普通賃貸だけでなく、家具付き短期賃貸などの形態を取り入れて、より高い賃料収入を得るチャンスもあります。
為替相場や株価は上下の振れ幅が大きいです。しかし、マンション経営による家賃収入は比較的安定しており、賃借人さえ確保できればキャッシュフローが読みやすい点もメリットです。大きな経済ショックがあっても、立地の良い物件であれば空室リスクが小さいという強さがあります。
一方で、円安はマンション経営においていくつかのリスクも伴います。経営コストの増加や為替変動リスクが、収支計画を脅かす要因となり得るため注意が必要です。
輸入材料や設備に依存する面が多い不動産業界では、円安が直接コストの上昇をもたらします。これにより新築マンションの販売価格が上がるだけでなく、定期的な修繕やリフォームにかかる費用も膨れ上がる可能性も。修繕積立金が追いつかない場合、オーナーの追加出資が必要になり、キャッシュフロー計画に狂いが生じる恐れがあります。
円安時にはインフレが進みやすく、そうした局面では金融政策としての金利引き上げが取り沙汰される場合があります。もし日本国内の金利が上昇すると、変動金利型の不動産投資ローンを組んでいる方は返済額が増えて利回りが下がる懸念があります。現時点で日銀が大きく動かないとしても、将来のシナリオを想定しておくのが安心です。
円安に乗じて海外の投資ファンドなどが大量に日本の不動産を買い付けると、市場価格が一気に上がる場合があります。しかし、一度海外が他国市場へシフトしたり、円高に振れたりすれば、投資資金が抜けて不動産価格が急落するリスクもあります。短期的な値動きを狙った売買には注意が必要です。
円安だからといって、全国どこでも不動産価格が一律に上がるわけではありません。海外投資家が集まるのは、やはり大都市圏や観光地がメインで、地方物件には需給の変化があまり及ばないケースもあります。投資先の地域特性をよく理解しておく必要があります。
円安によるリスクを軽減し、メリットを最大限に生かすためには、マンション経営者自らが戦略的な対策を講じることが必要です。以下にいくつかの対策方法を挙げます。
建材・設備のコスト上昇を見越して、早めに積立金や大規模修繕の時期・内容を確認しましょう。資金が不足しそうであれば、家賃の微調整や繰り上げ返済を検討するなど、キャッシュフローに余裕をもたせる策を考えると安心です。
変動金利が不安であれば、金利が低いうちに固定金利への借り換えを検討するのも手です。あるいは、手持ち資金に余裕があれば繰り上げ返済をして、将来の金利上昇による利息負担を軽減するといった方法もあります。
外国人ビジネス客や観光客が多いエリアなら、家具や家電、Wi-Fiなどを整えて短期賃貸に対応したり、多言語対応の管理サービスを導入したりすることで付加価値を生むことができます。地域のニーズに応じて、物件の魅力を高める取り組みをしてみるとよいでしょう。
リスクヘッジの基本は分散です。余力があれば、複数のエリアや異なるタイプのマンションへ投資することで、為替リスクや地域経済の偏りを抑えやすくなります。一棟アパートと区分マンションなど運用形態を変えるのも手です。
マンション経営は、単独で全てのリスクを管理するのは難しいため、不動産、金融、税務、法律の各分野の専門家と連携を強化することが重要です。定期的なアドバイスや市場動向のチェック、経営戦略の見直しを通じて、最新の情報に基づいた意思決定が可能となります。信頼できる管理会社やファイナンシャルプランナー、税理士と協力することで、長期的に安定した経営が実現できるでしょう。
円安は、マンション経営にも大きなメリットとデメリットをもたらします。海外投資マネーが流れ込んで不動産価格が高騰したり、家賃相場がじわじわ上がって収益増が期待できたりする一方で、修繕費やローン金利上昇による収支圧迫リスクも見逃せません。オーナーとしては、市況の好機を活かす柔軟性と同時に、ローン返済や修繕費への備えを十分にしておく姿勢が重要といえます。
そして専門家との連携強化など、円安の状況下でも長期的な視点に立った経営戦略を構築することで、マンション経営は今後も堅実な資産形成手段として期待されるでしょう。
1975年設立。総合建設会社として、RC工法を標準化したマンション建築、無料の24時間体制の賃貸管理、「お部屋探しのテクトピア」での入居サポートなど、建設から管理までトータルでサポート。