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マンションを貸し借りする際に、入居者から敷金や礼金を集めるかどうかは、マンション経営の空室リスクなどを考える上でも重要なポイントです。このページでは、マンション経営における礼金の考え方や必要性について解説しています。
マンションやアパートといった賃貸物件を借りる上で「礼金」というものがしばしば使われますが、そもそも礼金とはどのような性質のお金なのでしょうか。
かつての「礼金」は、まさしく入居者から物件オーナーに対する「謝礼」といった意味合いが強く、マンションの原状回復に使用するための敷金とは明確に用途や目的が分けられていました。
しかしそもそも入居者は賃料を対価として部屋を借りるわけであり、どうして物件オーナーへ一方的に謝礼を払わなければならないのかという考え方が社会で広がるにつれ、「礼金不要論」というものが強まっていったことも事実です。
そのため、一時期は「敷金・礼金ともに0円」といった「ゼロゼロ物件」が流行ったこともありました。
ゼロゼロ物件は入居者にとって部屋を借りやすくして、マンション経営者にとっても空室リスクを下げられるために効果的だと考えられます。一方でゼロゼロ物件では入居者が夜逃げした場合などに預かり金が存在しないため、原状回復などのコストを管理会社やオーナーが負担しなければならないというリスクもあります。
また「敷金」に関しては退去時の返金トラブルなどもあり、入居時に敷金として改修することで退去の際に入居者と管理会社との間でもめる原因にもなりかねません。
そのような流れから、現代では「礼金」を「返金不要の預かり金」として扱い、退去時のクリーニング費用などに使用するといったことが行われています。
例えばインターネットで「敷金返却」や「退去時トラブル」といった単語で検索すると、原状回復費用と敷金に関する金銭トラブルや不動産トラブルの事例がいくつも表示されます。
敷金は退去時に原状回復の費用として利用することが前提の預かり金であり、本来であれば余った敷金は入居者へ返金しなければなりません。
とはいえ原状回復やクリーニングはどうしても人の主観が関与するものであり、仕上がりやコストについて少しでもお金を返してもらいたい入居者と、物件を少しでも良い状態で復元したいオーナーとの間で互いの要望が衝突してしまうこともあります。
そのため敷金として預かるのでなく、最初から返金不要の礼金としてお金を集めておき、それを原状回復費用に充てることで入居者にとってもオーナーにとっても満足度の高い関係にまとめるといった考え方が主流になっています。
昔の礼金と異なり、現代の礼金の主目的は原状回復にかかるコストをまかないつつ、入居者との退去トラブルや金銭トラブルを回避することです。また、過剰な金額設定をしてしまうと、そもそも入居者が集まりにくくなってしまうでしょう。
そのため、基本的に礼金は原状回復費用として合理性のある数字を基準にしながら、建物の築年数や家賃の設定額なども考慮して考えることが大切です。
家賃の1~2ヶ月分という金額設定が一般的です。
新しいオーナーへ物件の所有者が変わることをオーナーチェンジと言います。礼金は基本的に、賃貸契約を結ぶ際に入居者からオーナーへ支払われる謝礼のようなものです。返金は不要のためオーナーチェンジによって新オーナーへ引き継がれたり、入居者が新しいオーナーに再度支払ったりする必要はありません。
ゼロゼロ物件は入居者に対して物件をアピールする有効な方法ですが、もし入居者として契約した人が、家賃を滞納した挙げ句に夜逃げをしたり、部屋を汚して逃げたりした場合、原状回復にかかるコストは全てオーナーや管理会社の負担となります。
入居者が本当に誠実で、退去時にもきちんと原状回復にかかるコストについて必要なお金を支払ってくれる人であればゼロゼロ物件でも問題ありませんが、現実的に賃貸契約の際の情報だけで人柄を見極めることは困難です。
そのため総合的なリスクマネジメントとして考えれば、礼金ゼロの設定はマンション経営においてリスクとなります。
時代の流れや人々の意識の変化によって、賃貸物件の大家・オーナーと入居者の関係や、礼金に対する人々の考え方も変わってきました。そのため従来の感覚で礼金を設定していると、空室リスクを高める要因になりかねません。
しかし礼金をゼロにすることで、結果としてオーナーや管理会社が負担やリスクを背負い込む可能性もあります。
現代的な礼金の扱い方についてきちんと把握した上で、マンション経営におけるリスクマネジメントの観点から礼金の設定を検討することが大切です。
1975年設立。総合建設会社として、RC工法を標準化したマンション建築、無料の24時間体制の賃貸管理、「お部屋探しのテクトピア」での入居サポートなど、建設から管理までトータルでサポート。